このままでは颯はいつか掴まってしまう。


もう3人も殺めてしまっているから、そう簡単に許してもらう事も出来ないだろう。


何年、何十年も颯に会えない日々が続くかもしれない。


そんな事、今のあたしには耐えられることじゃなかった。


「どうしてなの颯……」


アルバムの中の颯に向かってそう問いかける。


だけど写真の颯は笑顔のままで、何も返事はしてくれなかった。


こんなに沢山の颯がここにいるのに。


喜怒哀楽、すべての颯がここにいるのに。


静止画である颯は何も聞いてはくれない。


こんなに近くにいるのに、全然届かない。


あたしは颯の写真を抱きしめ、そして声を殺して泣いたのだった。