シオンside


私は再び水晶の壁の前に立つと、


そっと手を水晶の壁へと伸ばす。





そして、水晶の壁に触れた瞬間、一回目に


触れた時とは明らかに違う、吸い込まれる


ような感じに襲われた。





そして次の瞬間、私は知らない場所にいた。


驚いて私は辺りを見回す。



すると、辺り一面が真っ白な空間だった。


後ろを向くと、さっきまで前にあったはずの


水晶の壁がありその向こうには、エーラと


フィアネが座り込んで何かを抱えていた。




その何かが分からず、目を凝らすと…



「え…私?」


フィアネとエーラが抱えていたのは、意識の


ない私の身体だった。





「え、幽体離脱…?なんで…ど…どうしよう」


なんて、その場でわたわたしていると、



奥の方から、



「俺が外に戻してやろうか?」


という声が聞こえて、振り返る。



するとそこには、白い少し癖のある長めの髪


に、透き通る水のような薄い水色の瞳をもつ


青年が立っていた。





「君は…白虎?」



「そーだよ。麒麟サマ。」


面倒そうにそう返されて、私は



「なぜ私が麒麟だとわかる?」


と聞いてみる。



すると白虎は、


「ここには麒麟しか入れねぇから。」


とだけ答えた。




「で、あんた何しに来たんだよ?出たいんなら今すぐにでも出してやるよ」


とぶっきらぼうに言う白虎に、



「いや、出たくない出たくない!」


と言いながら手を振った。