「今日の講義は世界科だ。魔法ばかりの勉強だけでなく、世界の事情も知らなければならないからな。」
才華龍学院のように魔法重視の学校では系統魔法のような魔法についての講義、実技が基本だ。
しかし、魔法以外にも普通教科もあり、その一つが世界科で現代から歴史まで自分の国以外の事情を学ぶ科目だ。
「今日はカインやアーミャの祖国のクーイ国そこにあると言われているグリムズと言う、簡単に言うと独立都市だ。」
圭の言葉にアーミャと燐は目がピクッとなる。グリムズそれは燐とアーミャが逃げてきた場所だ。
世界科にも出てくるほど有名になったらしい。
「グリムズは世界各国の貴族や有名な者がさらわれその集まりで、できた都市だ。」
「先生!グリムズから出ることは出来ないでしょうか?」
「いい質問だね。
さらわれた者は一生出られないと言われている。
脱走しようとした者には容赦なく殺しに来る。」
そこで、生徒達はひそひそとはなしていた。
「なんて凶悪なんだ。」「悪魔だ。」
そんな言葉が聞こえて来て、燐とアーミャは複雑な顔をする。
「そして、グリムズの中で生まれた子供達は、グリムズの監視者から教育を受ける。
今の情報によればその子供達には、名前がなくコードネームで相手を呼んでいたそうだ。
グリムズの子供達にとってはそれが自分の名前のようなものだ。」
そこで、圭は書きながら話を一旦切った。生徒達は可愛そうなどと言っている。
「そして、グリムズの子供達は暗殺家業をしているらしい。」
「先生!それはどういう意味ですか?」
「そうだな…光国内では№10貴族の当主とその父やある有名な薬師が暗殺されたなどだ。」
このクラスには№10の貴族の子供がいた。つまりその子の父親と祖父が殺されたと言うことだ。
「グリムズは悪だ!!…父上を殺したグリムズの…グリムズの子供達もみんな悪なんだ!!!!。」
№10貴族の子はそのときの記憶がよみがえったのか狂ったような声をあげた。
「そうだな。グリムズは悪いことをしている。決してしてはならない罪もない人たちを殺すことはいけないことだ。」
そこで圭は間を開けて、また語り出す。
「だからといって、復讐もよくない。闇を追いかけてはいけないよ。」
№10の生徒に向けて言った。その生徒も「はい。」と悲しげにうなずいた。