冬休みに入って五日目の夕方、
オリオン荘のチャイムが鳴った。

此処に来るのは
叔父か母か雫だけ。

但し、今日は雫は来ていた。

『は~い』

開けるとそこには
叔父さんがいた。


「梓、誰でしたか?」

リビングから泰佑の声がした。

『叔父さんだよ』

玄関から叫ぶように
言うと三人が来た。

四人で話していると
背の高い女性が
叔父さんに手を振りながら来た。

「姉貴」

雫の囁きが
私にだけ聞こえた。

「莉音、お待たせ」

雫のお姉さんの
言葉から察するに
最初から
オリオン荘(此処) に
二人で来ることに
なっていたらしい。

「雪遅い❢❢」

二人の関係って何?

痺れを切らしたのは
弟である雫。


「何で姉貴が管理人と
一緒にオリオン荘(此処)に来た?」

「相変わらず短気ねぇ。
莉音は友人よ」

叔父さんと雫のお姉さんが友人……

凄い偶然だなぁ。

てか、来るなら来るで
連絡してくれても
よかったじゃん❢❢

何の用意もしてないし……

いきなり来たのは
大方、吃驚させたかったとか
そんな理由だろう。

叔父さんの考えそうなことだ。


「とりあえず、
あがってもらっては
どうですか?
外は冷えますから」

今は十二月下旬。

確かに冷え込む。

『そうだね。
叔父さんも雫のお姉さんも
どうぞあがってください』

中に入らないと始まらない。

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家の中は外と比べものに
ならないくらい暖かい。

「本当に何しに来た?」

雫がお姉さんに訊ねた。

「あんたが此処を出たって
聞いたから確かめに来たのよ」

あらら(苦笑)

「来た理由はわかったが
とりあえず自己紹介したらどうだ」

叔父さんと雫のお姉さんが
あんまりにも馴染んでいるから
すっかり忘れてた。

『そうだよね』

泰佑と一緒にお茶を
配りながら同意した。

「へぇ~
あんたが生徒とねぇ~」

雫の家は教師一家だって言ってた……

やっぱり、反対されるよね……?

「可愛い子捕まえたわね」

雫のお姉さんは私を抱き締めた。

えぇぇ!?

「だろう(ニヤリ)
梓は特別なんだ」

「まぁ、いいんじゃない。
私はあんたが誰かを
“また愛せるように”なって嬉しいよ」

どういうこと……?

“特別”と言われたことは嬉しいけど
お姉さんの言い方は雫が
恋愛に対して
何かあったような言い方だ。

胸にもやもやを抱えたまま
訊けずに時間は過ぎていった。