三人が引越して来たのが
金曜だったこともあり
今日は四人でオリオン荘で
生活して初めての月曜日だ。

家ではすっかり、タメ語と名前呼びが
定着しているから少し心配だ……

そして、もう一つ。

私は三人にお弁当を作った。

一昨日、夕飯の買い物に
行くついでに三人のお弁当箱を買った。

今朝、お弁当を渡すと
吃驚した後でお礼を言われた。

一人分も四人分も
作ることに変わりないから
大した問題じゃないが、
三人が一緒に暮らしていると
周囲にバレたら
女子生徒は遊びに来たいと
ほぼ間違いなく言い出すだろうし、
教師達まで来たいとか言い出したら
どうしようか……

やっぱり、お弁当
迷惑だったかなぁ……

**昼休み**

トイレから三人にメールしてみた。

《お弁当、どう?
誰かに何か訊かれた?
迷惑だったらはっきり言ってね》

~送信~

家に帰れば、誰にも
邪魔されずに四人で話せる。

学校ではいままで話さなかったから
いきなり仲良くなっていたら
皆が不信に思うだろう。

早く帰りたいと思いながら
午後の授業を聞いていた。

*************************************

「ただいま」と三人の声がして
何故だか泣きそうになった。

『おかえり』

そっか、今まで一人だったから
家に誰かがいることにホッとしてるんだ。

「弁当美味かった」

勇人が鞄からお弁当箱を
取り出して渡して
泰佑と雫も
美味しかったと言ってくれた。

「明日も作ってくれますか?」

ニコニコしながら泰佑が言った。

『迷惑じゃなければ』

「それ、昼にして来たメールでも言ってたな」

勇人に言われた。

『だって、いきなり
三人がお弁当になったら
先生達も生徒達も怪しむでしょう?』

今日はたまたま、
誰にも見つからなかったけど……

『誰が作ったとか、
何でいきなりお弁当にしたのかとか
勘繰られるよ絶対に』

三人は教師だし
仕事に真剣なのは見ていれば分かる。

だから、危険な芽は
早めに摘んでおきたい。

「俺達のことを考えて
くれてるんだろう?」

頷いたら雫に頭を撫でられた。

「此処に最初から住んでたのは
梓だし、生徒が住んでると
分かった上で此処住むと
決めたのは俺達なんだから
もし、何かあったら
それは俺達の責任だ」