短い三学期が終わり、
今日から三年生。

オリオン荘では、
変わったことはない。

私が四人分のお弁当を
作っていることも泰佑と
ご飯を作ることも。

そう、始業式が始まり、
担任が発表されるまでは……

三年ということもあり、
色々と大変な一年に
なるだろうとは思っていたけど
まさか、担任が“佩川先生”とはね……

当然、教師である三人も
さぞかし吃驚しただろうなぁ(苦笑)

私の担任が佩川先生だなんて。

例の件があるから
三人としては佩川先生に
いいイメージがない。

私も内心焦っていた。

よりにもよって、
高校生活最後の担任が
“佩川先生”とはついてないなぁ。

一年間、憂鬱だ……

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オリオン荘に帰り、夕飯を三人で食べる。

「明日から大変だな」

勇人が夕飯後に言った。

『まったくだよね』

「何かありましたら
私達に言ったくださいね」

泰佑の言葉に苦笑いをして頷いた。

四月・五月、六月と過ぎ、
あっというまに七月になり
中間・期末が終わり
あっというまに
終業式になった。

とりあえず、一学期は無事に終わった。

「明日から夏休みだな」

高校生活最後の夏休み。

最後だから色々大変だけど
楽しむことも忘れない(笑)

私が行きたい調理学校の試験は秋。

丁度、一年前
進路が決まらない私に
調理学校の資料を何冊か
持ってきたのは勇人だった。

毎日、お弁当や夕飯を作る私に
勇人がこう聞いたた。

【梓は料理が好きか?】

まぁまぁ好きな方ではあると思う。

じゃなければ、わざわざ、
お弁当や夕飯を作らない。

頷いた私に勇人が
例の資料を渡してくれた。

オリオン荘から通えるのが
秋に試験を受ける学校だった。

他の調理学校も
よかったけど、オリオン荘から
通えないなら意味がない。

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二学期になり、
どうにか試験にも合格した。

佩川先生は至って普通の態度だった。

まぁ、いまだに勇人を
諦めてないみたいだけど(苦笑)

頑張れ勇人(笑)

期末テストも終業式も終わり
今日はクリスマス。

私の合格祝いは
オリオン荘と実家と二度してもらった。

月日が経ち、今日は卒業式。

色々あったけど、
今日この日を迎えられてよかった。

「卒業、おめでとう」

三人を代表して雫が言った。

『ありがとう』