―約束―


「おはようございます」

もうサボらないと決めたから、駐車場で先生を待ち伏せ。

「お!すがすがしい顔してるじゃねぇか」

「先生のおかげで、お母さんと話せました!言いたいこと、ぶちまけました!」

バイクを停めた先生は、そうかそうかと言い、手袋をしたまま私の頭に手を乗せた。

「もう焼却炉の見廻りは必要ないな」

「はい。でも、やっぱり先生が必要です」


素直になるって簡単なことだったんだね。

素直になるって、自分を大事にするってことかもしれない。

ふたりで同時に空を見上げた。


「あの雲見てみろ」

先生が指差したのは、青空にポツンと浮かぶ小さな雲だった。


「目、閉じてみ」

そう言われて、目を閉じる。


「開けていいぞ。ほら見てみろ」

見上げた空には、たくさんの雲が集まっていて、さっきの小さな雲がどれだかわからなかった。


「お前はひとりじゃない。だから、安心しろ」


数秒目を閉じていただけなのに。

先生の言葉は胸に響く。