…それから、私たちは、こっそり会議室から抜け出して、それぞれの仕事に戻った。

司は営業のため社外へ。

私は勿論内勤で、テキパキと仕事をこなす。

今日は、定時に仕事が終わりそうだ。

…予想していた通り、仕事は定時に終わる。

片付けをしていると、外回りをしている司からメールが来た。


『急な接待が入ったから、今夜は遅くなる』

そのメールを見て、溜息をつく。

…突然の司の告白。

・・・初めて知ってしまった自分の気持ち。

同居している私たちの生活が一変するのは当たり前で。


…家に帰って、司にどんな顔をして会えばいいのか、少し困っていた。


「…朱莉」

鞄を持ち、入り口に向かった私を呼び止めたのは、久美だった。

「あ、お疲れ様、もう終わったの?」
「うん、今夜、一緒に食事でもどうかなって思って」

そう言ってニコッと笑った久美。

…今夜は司の帰りはだいぶ遅くなるだろうし、一人でいてもつまらない。

「うん、いいよ、行こう」