買い物を済ませた俺たちは、少量の荷物を朱莉に持たせ、残りは俺が片手に持つ。

空いた方の手は、朱莉の手をしっかり掴んで離さない。

時々朱莉はその手に視線を落とし、困惑顔だが、俺は知らないふりをする。

…仕事帰りに、たまたま見かけた街中の街頭テレビに目をやった俺は、危うく手に持っていたスマホを落としそうになっていた。

一度だけ、酔っ払った朱莉を自宅まで送り届けた事があった。

あの時に見たアパートが、真っ赤に燃えて、消火活動中。

驚いたと同時に、直ぐに朱莉に電話をかけた。

5回目のコールでそれに出た朱莉。

…その声は明らかに泣き声で…。

いてもたってもいられなくなった俺は、すぐさま朱莉の元へ急いだ。

…そこにいろって言ったのに、朱莉は現場からフラフラと、どこかに向かって歩き出していた。