……あいつに………噛まれたい。…




え?…今あたし、何を…。




いい加減にしなよ…全く。




あかねは起き上がり、




おもむろに引き出しを開けた。




その中から睡眠薬を取り出した。




どれだけ口に入ったか分からない。




あかねは冷たい床に崩れ落ちた。









―――――ん…




ぁ、やば。すごい寝ちゃった。




あんなに睡眠薬飲んだの初めてかも(笑)




床で寝てたし、頭痛い…。





「やっほー、気がついたー?」





不意に頭の上から降ってくる声。





「!!…あんた、いつからそこに?」





視線を上げると




引き出しの上に吸血男がいる。





「んー、ずっとかな(笑)」





あかねは咄嗟に時計を見た。




既に授業は終わり、放課後になっていた。





やば、都笠来たのかな…




睡眠薬がばら撒かれたこの部屋に?




しかもあたし床にいたし。




見つかったらやばい。





「お前の連れなら来てたぞ。」





「え?!」





はい、処刑決定。





「ま、俺、鍵かけてたけど。」





「は?…それじゃ、都笠は…」





「帰ったよ。」





こいつ、いけしゃあしゃあと。




でも、都笠に薬で寝てたこと




バレなくて良かったかも。





「なー」





「…何。」





「俺、お腹空いた。ちょい分けて。」




男は不満気に言った。





「いや、意味分かんない。嫌です。」





「…噛まれたいくせに。」





「っ…そんな訳無いって言ってるでしょ。」





あかねは俯きながら言った。




そんなこと…あっちゃいけない。




こいつに噛まれたいなんて、




あたしの口から言っちゃいけない事。




どうして、ちゃんと考えられない…




あたしが…壊れていく。





自然と目から零れ落ちる涙、




あかねは下唇を噛んだ。





「泣いてんの。」





あかねは強く首を横に振った。





「じゃ、こっち向けよ。」





男はあかねの目の前に下りてきた。