原田さん達に連れられて、私は街をすり抜けていく。
「あと少しで池田屋だ。
もう少し我慢してくれよ、佐渡!」
「はい!」
わあ、凄い。
私、本当に池田屋事変に参加してる!!
あと少しで歴史を生で見れるんだ!!
ワクワクが高まって、口元が緩みそうになる。
その時……
「うわああああ!!」
「っ?!」
恐怖に満ちた断末魔が聞こえてきた。
思わず、キョロキョロと周りを見渡す。
「え、え……?」
どこから?……っていうか、今の、完全に叫び声だよね?
原田さんと斎藤さん、驚かないの?
なんで、足を止めないの?
気にならないのかな……?
それとも、まさか聞こえなかったとか……?
不思議に思って、2人に思わず声をかける。
「あの、原田さん斎藤さん……」
「っち、始まってたか……」
「ああ」
「え、始まったって……?」
恐る恐る聞き返すと、前を向いたまま原田さんが答えた。
「今の声、池田屋からだろ」
池田屋……
原田さんの言葉に、少しだけドキッとした。
でも、とりあえず、あの声は聞こえていたみたい。
「なんで池田屋から叫び声が……」
何の気なしに、ポツッと言うと今度は斉藤さんが答えた。