うどんか、そばか、カレーライスか。

 うーん。
 やっぱり、日替わりか?
と凛子は食堂の入り口で人様のお盆を眺め、日替わりのメニューを確認していたのだが、両脇から美晴たちに抱えられる。

 そのまま、食券の自動販売機前まで連れて行かれた。

「はいっ。
 悩まないっ。

 早く決めるっ」

「そうよっ。
 もう今日はジリジリしながら、昼休み待っちゃったわ。

 旦那とランチデートの約束、初めてしたとき以来よ、こんなのっ」
と美晴と千尋が訴えてくる。

 女子軍団に取り囲まれている凛子に気づいた弥が蕎麦を手に、

「やあ、凛子さん。
 どうしたの?

 女子にモテモテだね」
と微笑んだので、余計にみんなのテンションが上がってしまう。

「上村さんっ。
 聞いてくださいよっ。

 凛子ったら、伊月様……伊月さんとデートしたんですよっ。

 だから、今から、みんなで吊るし上げようかと思ってっ」

 いや、あんた、照れながら、吊るし上げようかとってどうなんだ、といつの間か混ざっている別の部署の同期に苦笑いする。

 伊月を伊月さんと言い換えたのは、上村の前だからだろうか。

 やっぱ、人気あるな、上村さん、と思った。