「失礼しまーす……」

ゆっくりと扉を押し開け、屋敷の中に入る。

外からの明かりで目の前が壁で、左右に廊下が伸びているのが分かるくらいで、それ以外は暗くて良く見えない。

「……ご、ごめんくださ〜い」

やはりこの屋敷は廃墟で、誰も居ないのだろうか……。

返事は無い。

扉から手を離し、一歩二歩と様子を伺いながら、恐る恐る足を進める。

バダンッ!

「きゃっ!?」

目の前が真っ暗になり、扉が閉まったのだと理解する。