翌日


「……モヤモヤする……」


私は自分の部屋のベッドで布団を被りながら呻いていた。
私の頭を支配するのは三井先生ではなくて。


「泳ぎたい……」


水泳への想いだった。
どんどん膨れ上がる泳ぎたいという気持ちに私の心は耐えきれなくなっていた。
爆発寸前だ。


「だぁー!!悩むなんて私らしくない!!」


バッと起き上がりベッドの上に立つ。


「……」


そっと目を閉じ私は必死に頭を動かす。
この泳ぎたいという欲求から解消される方法はたった1つしかない。


「……泳ごう。今日たった1回だけ」


それが私の最後の水泳。
これで全部終わりにするんだ。
私は決意して箪笥へと歩き出す。


「……あった……」


私が手に持つのは奥底に眠っていた。
2度と着る事がないと思っていた競泳用の水着。


「最後……これが……最後だから」


自分に言い聞かせる様に呟いて水着を鞄に詰め込む。
後は水泳帽とゴーグル。
久しぶりに見た私の相棒たち。
ずっと一緒に闘ってきた私の大切なもの。


「さて……行きますか……」


口角を引き上げ私は部屋から出る。