ケーキ屋をあとにしたあたしと有馬くんは、とある〝鉢合わせ〟状況に、足を止めてしまった。



当たり前のように手をつないでくれた有馬くんに胸がキュンってなったのも束の間のこと。


この状況では冷や汗があふれてきて、手汗も違った意味で尋常じゃなかった。



また、鉢合わせした相手も、あたし達を見てかたまっていた。



もっとよく言えば、手に持っていたスーパー袋らしきものを落としてしまって、そこからネギがひょっこりと顔を出しているのが見てとれる。



……ど、どうしよう。



こんなところで石原くんに会ってしまうなんて……!




「ちっ」



驚いて隣を見る。



あたしにはしっかり聞こえた。向こうの彼には聞こえてなくても、あたしには聞こえた。



小声で舌打ちしたよ、有馬くん。