翌日の6月10日。


土曜日まであと3日。


あたしはチケットをカバンに大切に入れて登校してきていた。


「おはよう朱里」


「おはよう彩美」


あたしはニコッと微笑む。


「なんだか、最近の朱里は変わったね」


自分の席にカバンを置いたと同時そう言われ、あたしは動きを止めた。


「え?」


「少し前まではあたしとベッタリだったのに、今は色んな生徒に自分から声をかけてるから」


「……そうかな?」


「うん。それってさ、やっぱり翔吾君が原因?」


突然翔吾の名前が出て来て、あたしの胸はギュッと締め付けられた。


一瞬にして自分を打って死んで行った、あの忌まわしい光景が蘇ってくる。


「なんで、翔吾?」


自分の声が震えているのがわかる。