四月




メモ用紙の切れ端に、まるでお使いを頼むようなノリで書かれていた

この寮にも新入生が来る予定なので
(以下略)


春になれば新入生が入学し、寮に入ることは当たり前ではあるが


まさかこの寮にも来るとは思ってもいなかった



四人はしばらく無言で固まり、ライがその沈黙を破る


「マジかよ.....」

それだけ言うと、彼はしゃがみこんでガクリと項垂れた


いかにも集団行動を嫌がりそうな彼にとって、居心地のよい男子寮Bが大所帯と化していくのは心底嫌に違いない


人付き合いが比較的得意な結斗、咲夜、市河の3人にとっても、寮が男臭くなるのは少し勘弁だ


「まぁまぁ、ライ。そんなに落ち込むな。きっと今回も男子寮Aからあぶれたほんの数人しか入ってこないんじゃん?」


しゃがむライを見下ろし、なだめる市河に続いて、咲夜もウンウンと頷く


「そーそっ、それにこの寮ももう少し賑やかになったら楽しいかもしれないだろー?」

「.....あ?」


ポジティブな発言に1ミリも同意ができない様子のライを見て、結斗はクスリと笑った


「確かに新入生が入ることで寮がうるさくなるかもしれないけど、今よりもっと楽しくなるかも。

俺もこの寮にいることで、集団で生活する大変さってあんまり感じてこなかったから、つい贅沢に考えちゃうんだけど。でもきっと、新入生が入ってきても平和に.....」