ーーもう魔女なんてやりたくない。


劇の練習なんてやりたくない。


いっそのこと熱でも出ればいいのに…。



そんなことを考えながら眠ったら、翌朝本当に熱が出ていた。


なんて都合のいい体なんだろう。



「大変です、お嬢様。

38度五分もありますよ」



世話係の梅子が体温計のデジタル画面を私に見せる。


私はそれを見て内心なんだかホッとしてしまった。



「あらまぁ、仕方ないわね。

今日は休むわ。

学校に連絡よろしくね」



梅子にそう言いつけるとゴロンと寝返りを打つ。


そしてそのまま詩織にLINEを送った。



『熱出したから休むね。

翼くんには言わないで』