鳥の囀りが聞こえる。
開けた窓から風が入り、カーテンをひらりと揺らした。


ベッドに座ってタオルケットを頭から被ったまま、私はどのぐらいこうしていただろう。

真っ暗だった空が光を取り戻し、いつの間にか透き通るような水色に変わっていた。



昨日は全く眠れなかった。
目を閉じると思い出すのは松永皐月のこと。

美し過ぎる獣の眼光。

纏う爽やかな香り。

そして、柔らかい唇。


最初は触れるだけのキスだった。


だけどそれはすぐに濃さを増し、角度を変えて啄ばむように食された。


逃げようにも逃げられない。

足は膝で割られ、腰は抱かれ。

顔を背けても追ってくる唇に、私はとうとう足の力を奪われてしまった。


上手いとか下手とか、経験のない私にはわからないけど、松永皐月のキスは私の脳までも蕩けさせ支配した。


腰が砕けてその場に座り込んだ私を、男は軽々と抱き上げる。


向かう先は寝室。
貞操のピンチだと頭ではわかっていても、あの瞳に囚われた私は何も出来なかった。


ベッドに降ろされると、枕やシーツから爽やかな香りがふわっと香ってくる。

それだけじゃない。
借りたTシャツはもちろん、自分の髪や肌からも同じ匂いがして、恥ずかしさのあまりカァッと身体に熱が帯びた。


ギシっとベッドのスプリングが軋むと、熱くなった瞳で私を見下ろしてくる松永皐月。

好きじゃない。なのに……

ドキドキし過ぎて、もう何が何だかよくわからなかった。