「は? なんて言った? 」

「クリスマスだよ。付き合って初めてのクリスマスだから記念に残ることがしたいね」


それはもううっとりするくらいの天使スマイルで、そうのたまわった。

クリスマスに何をするというのだろう。クリスマスとはチキンとケーキの日であって、プレゼントを貰うためにいい子でいる日だ。


「うちはケンタッキーを食べるんだ。ケーキはパパが買ってくるよ」

「結香ちゃんの家のクリスマスはご馳走だね」


わが家よりも素敵なディナーであるはずの天使から、お世辞にもそう言われてしまった。


人気お料理ブロガーをママに持つ天使の家では、ローストチキンやシュトーレーンが普通に出てきてしまう。

何故知っているかといえば、あたしは天使ママのブログ読者だからだ。

子供の頃からその美貌とお菓子に甘やかされてきているので、誰よりも味にはうるさい。天使の家にお邪魔すれば、試作のお菓子や家庭料理がいつも出てくる。

甘いものが苦手な天使や天使パパに変わって、味見するという権限があるのだ。