空手を始めてからの天使は、男の子に混じって遊ぶようになってきた。

それまでは、あたしの後をついていたので、劇的な変化で天使離れできないあたしのほうが、ダメージが大きかった。


しかも中学に進学してからは身長が伸びて、声が低くなった。顔つきも大人っぽくなって、コミュニケーションすら問題なくなって、同じクラスの子と仲良く笑顔で話しているのをみかけたりする。


「シッター廃業かなぁ」

ぽつりと図書室の窓際で天使をうかがう。お昼を食べての数分だけ、天使はひとりで裏庭の特別棟までやってくる。

そこで日光浴するのが最近の天使の日課だった。


ああ天使だなぁ

色素の薄い天使の髪の毛は、光を浴びてキラキラと輝いている。

天使の歌声みたいな高いボーイソプラノではなくなってしまったけれど、あたしにはやっぱり天使だった。