「……司ママ」

「あら、またなの。しょうがない子ね」


成長したあたし達は、小学生になっている。でもあたし達を取り巻く状況はあまり変わっていなくて、あたしは毎日のように天使の家までついて行く。


すんすん鼻をならした天使は、手首についた手形をなでている。


天使は下校途中に、知らない大人に声を掛けられたり、上級生、高校生、さらには男女の別なくボディタッチされたりする。


まったく油断も隙もない。


今日はオタクっぽい人だった。差別している訳じゃないけど欲望がギラギラしていて、あきらかに浮いていた。


浮いていたのは欲望だけでなく、脂もだったけれどそれはそれで可哀想な人だということにしておく。


それを遠くから認め、しかたないなぁと舌打ちした。もちろんお姫さまを目指しているあたしは、人前でそんなことはしない。あくまで心のなかで、だ。