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『あ、妃奈?あのね、ちょっと買いし忘れた物があって、近くのコンビニに買いに言ってくるね。……え?妃奈も?分かった。じゃあさっきのベンチで待ってるから。うん、また後でね』


数十メートル先にあるコンビニを見ながら数回頷いて、電話を切る。


『よし。行こう』



あれから、あたし達は優音に迎えに来て貰う為、待ち合わせ場所である駅前のビルへと移動した。


そこで優音にお迎えの電話をしたんだけど、電話し終わった後に目が真っ赤な事に気が付いて、慌ててお手洗いへと顔を洗いに。


妃奈には優音が来た時の為にそこに待機して貰ったんだけど、今、電話をしたら妃奈もお手洗いに行きたくなったみたいで、仕方ないから優音にはそこで待ってて貰う事にした。


多分、貴兄も一緒だから少しぐらい大丈夫だと思う。





「いらっしゃいませー」


コンビニに入ると、真っ直ぐに向かうのは一番奥にある飲料コーナー。


そう。

コンビニに寄ったのは富士山……、いや、嵐ちゃんに頼まれたコーラを買う為。


何だかんだ言ってちゃんと買いに行く所が律儀だと思う。


『感謝してよね。……って、え?』


雑誌コーナーを通り過ぎて角を曲がった時、視界に飛び込んできたのは見覚えのある富士山。


ちょ……!


『なんでこんな所に嵐ちゃんが居るんだよ!』



目の前に居るのは、家に居る筈の嵐ちゃんで。


嵐ちゃんは腰に手をあて、険しい表情で飲み物を物色している。