すすり泣くような声が聞こえなくなって、そっと顔を覗き込んでみたら泣きつかれて眠ってしまったらしい。
涙の跡が残る晴野の顔は疲れ切っていて、正直見ていられない。

 気持ちは痛いくらいによく分かる。
 いくら、言葉でどうでもいいって言っても、やっぱり実の親に愛されていたいと思うのは当然で。

 会えなくなっても、心のどこかでお父さんは、お母さんは、仕方なく自分をここに置いて行ったんだ。いい子にしていればきっと迎えに来てくれる。

 そう、願わずにはいられない。

 なのに、その思いを踏みにじって、お前はいらない子だなんて突きつけられたら、誰だって絶望して、泣き叫んで、それが当たり前なんだ。

 自分を生んだ人は、必要だったから自分を生んだんだと信じているはずだから。