「俺…雪の夢を、叶えてやれないんだよ…」



全て話し終わって、和君は改めてそういった。



「お前に…家族を作って、やれないっ…!」


「和、君…」


「それなのに…






ーーお前が、お前だけがっ、愛しくてたまらない…」



ーーー私の中の、感情という感情が全て、涙となって溢れ出した。



もう、今世界が終わってもいい。



世界一…うんん、

世界で唯一愛しい人が、

私を愛しいと言ったのだ。




信じられなくて、でも信じたくて仕方がなくて、今度は私から彼を抱きしめた。



「雪っ、雪っ…」



私を呼ぶ声が、痛々しいくらいに切ない。

悲痛な声で何度も私の名前を呼ぶ和君に、答えるように強く強く抱きしめた。



「和君、バカだよっ…」



そんなことで…そんな、小さなことで、ずっとずっと悩んでいたの…?

私のために、悩んでいてくれたの…っ?



「私は、和君さえいてくれればいいのにっ…」



私の気持ちも知らないで…



「和君がいてくれるなら、もうそれだけで幸せなのにっ…」



彼の体温が伝わってきて、もうそれだけで愛しくてたまらなくなった。

全て崩れてしまったものが、今再び積み重なる。



和君は、震える手で私を、抱きしめ返した。