和君が入院してから、もう一ヶ月が経った。
後一週間ほどで、退院できるそう。


私は、あれから一度も和君のもとへ行ってはいない。



「雪…今日も行かない?」



いつもと同じ台詞を私に言って、瞳ちゃんは少し困った顔をした。



「うん…ごめんね」



そして私も、いつもと同じ台詞を返す。



「そっか…わかった。じゃあまた明日ね」

「雪、明日な!」



瞳ちゃんと楓ちゃんは、私に手を振って教室を出て行く。

二人の姿を見送ってから、ため息をひとつはいた。


会いたい、な…


和君の姿が脳裏に浮かんで、慌てて首を振った。

ダメダメ、もう会いに行かないって決めたんだから…。


私を庇ってあんな怪我をしたのに、お見舞いにいかないなんてとんだ薄情者だと思う。

けれど、決めたんだ、もう。



私は遠くから、和君の幸せを見守るのだとーーー。




教室を出ると、外に瀧川先輩がいた。