私が、小学校1年生の時だった。
私の家族は、お父さんとお母さんと私の三人家族。
お父さんは、寡黙で滅多に笑わない人で、けれど怖いと言うわけでもなく、特に怒られたこともなかった。
今思えば、私に興味が無かっただけかもしれない。
一方のお母さんは、成績や運動、素行などに凄く厳しい人で、良く怒られたのを覚えている。
でも、幸せな家庭だった。
…私にとっては。
ーーピンポーン
ある日の休日。
珍しく三人で家に居て、各自仕事、勉強、家事をやっている時、家のインターホンが鳴った。
私はリビングに居て、お母さんが濡れた手をタオルで拭き急いで玄関に向かう。
「アナター!雪ー!来てちょうだーい!」
お母さんの台詞に、なんだろうと思いながらお父さんと玄関へ行った。
扉を挟んだ向こうで立っていたのは、私より年上そうな男の子と、その子のご両親らしき2人。
「初めまして。隣に越してきた水谷です。これ、粗品ですが…」
男の子のお母さんらしい人が箱を差し出し、何か言ってそれを受け取ったお母さん。
私は2人の会話よりも無言で立っている男の子が気になって、じっと見つめた。