目が覚めると、朝だった。


いつの間に寝てしまったのだろうか、窓から差し込む光が眩しい。

枕元には氷嚢が置かれていて、額には熱さまシートが貼られていた。

これ…和君が、してくれたのかな…?

重たい身体を起こし、昨日より風邪がマシになっていることに安堵する。

ふと目の前のテーブルに目をやると、一枚の紙が置いてあった。所謂、置き手紙というもの。

書かれている綺麗な文字に和君らしさを感じながら、視線を流して行く。


【学校に行ってくる。お前は今日1日ゆっくり休め。お粥があるからお腹が減ったら食べて。あと、冷蔵庫にゼリーとか果物もある。風呂も勝手に使っていいから。着替え一式用意してある】

その他にも、少しでも何か口にしないと悪化するから〜とか、何かあったらこの番号にすぐ電話〜とか、紙一枚にギッシリと文字が詰め込まれていた。


……。私は、どうしちゃったんだ。



「最近…涙腺緩い、よ…」


瞬く間に目に留められない涙が溢れ頰を伝う。


和君は、どんな表情でこれを書いたのかな。

その姿を想像するだけで、いろんな感情が胸の中を支配した。


「…っぅ、好、き…」


もう、それだけなのに。

彼への気持ちは、嘘偽りない愛。

私のために書かれた紙切れさえ、愛しさの塊でしかないんだ。