少しだけ緊張しながら、自分の腕時計を確認する。



……4時42分ぴったり。



今私たちは、黒田くんに言われた屋上にいる。



目の前には、ラジカセが1つ置いてあった。



「あぁ?ラジカセだけかよ?」



悠人さんがデタラメにボタンを押すけど、ラジカセは反応しない。



電源もつけられないようだ。



「チッ…んだよこれ…」



「まあまあ。
集合時間って言われたのはあと2分後なんでしょ?」



イラついた声を出した悠人さんをなだめるように、芽衣さんが肩を叩く。



「はい…多分。
この時間にって言われたので、合ってると思います」



黒田くんに渡された時計を、ポケットから取り出す。



確かに時計は4時44分で止まっているし、間違えてはいないだろう。



それにしても…女物のピンクい時計だなんて。



一体誰のなんだろう?



疑問に思いながら、軽くヒビが入ったそれをまじまじと見つめる。






―――ザザザッ…





「!!」



突然ラジカセから呻くように聞こえたノイズ音に、その場にいた誰もが一瞬にして振り向いた。



咄嗟に芽衣さんが携帯を見た。



「よ、44分…」



さっきまで電源もつけられなかったのに!



遠隔操作?



いや…時限爆弾みたいに、時刻設定できるものでもあるのだろうか。



時計をポケットにしまい直し、ラジカセに目をやる。