「はぁ……はぁ………」




扉に頭を叩きつける〈あの子〉から逃げてきた私は、適当なところで階段を降りるのをやめて廊下に出た。



肩で息をしながらそこに広がる血の海を見て、ギクリとする。



ここ…2階、か。


相変わらずそこにはいない正秀くんは、一体どこに行ってしまったんだろう。



一瞬もう1階降りようかと階段を見たけれど、やめておいた。



…いつまでも目をそらしているわけにはいかないもんね。



2階も調べなくちゃいけないし。



血溜まりのない右を見ると、技術室の文字が見える。



悠人さんたちが襲われてるところの扉を開けてしまった場所だ。



そこを過ぎるとコンピュータ室があって、その隣には視聴覚室がある。



反対側の廊下、つまり血だまりの向こう側にも、まだ一切手をつけていない3年生の教室が立ち並んでいる。



正直、バラバラに調べすぎてどこをどう調べたのか曖昧なところはあるんだけど、ここらへんは調べていないはずだ。


いっつも調べようとすると誰かと会ったり、〈あの子〉に遭遇したりで移動しちゃうんだよね…。




そっとコンピュータ室の扉を開く。



中に入ると、たくさんの黒い画面に私の影が映った。




「……?」



ふと、教室の一番奥が明るいのに気付く。


久々に見た気がする、暖かな感覚。



…電気?



まさか、パソコンがついてるの?




ぼんやりと暗闇に浮かぶ光に駆け寄る。