とうとう高校二年の夏も終わろうとしている8月21日。
今日は彼女とあいつの記念日。
高校生って付き合ってから何ヶ月とかいうのを随分と大切にしている。一緒に過ごした時間も、何ヶ月続いたっていうのもそれがステータスにになるのだろうか。
僕は未だに「年齢=彼女いない歴」を日々更新し続けているものだからそういうのはわからないのだが、きっとそういうものなのだろう。
「彼女いない歴17年」といっても、別に人を好きになったことがないわけではない。中学生の頃だって好きな女の子はいたし、今だって好きな子はいる。
ただ彼女には付き合っている恋人がいて、僕よりも格好良くてスポーツもできて勉強もできて、性格もきっと僕より優しいのだろう。
今日は、そんな格好いいあいつと彼女の1年3ヶ月の記念日。

彼女は今日も幸せそうに笑ってる。

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今日は冬に入ろうかという10月20日。夕暮れ時の少し暗くなってきた頃、僕の携帯電話に一本の着信がはいる。明るく光る画面には、彼女の名前が映し出されていた。

「もしもし?お前から電話なんてめずらしいじゃんか。」

すぐに出るのもなんだか嬉しいのを察せらそうで2コール待ってから電話に出た。
少し笑みをこぼしながら静かに彼女の声を待っていると、少し痛いくらいに耳に押し付けた携帯電話からは、
小さくすすり泣く声が聞こえてきた。