あれ以来、颯太先輩からはなにも連絡がない。


もしあのとき桐谷くんが来てくれなかったらって想像しただけでも怖くなる。




「彩ちゃんおはよーっ」


生徒玄関で渉くんと…

その横には桐谷くんもいた。


変に意識してしまって挙動不審になる。


「お、おはよっ」


「んー。前も可愛かったけど、やっぱり今の彩ちゃんの方が表情も明るくていいね?」


渉くんが近寄ってきて、じーっと私の顔を見つめる。


ち、近いな…。


「そう…かな!?」


「うん。その髪の色も似合ってるよ」


「ありがとうっ…」


渉くんって細かいとこよく見てるし、すぐに気づくよね…そしてちゃんと誉めてくれるから嬉しい。


「渉、それ以上言うと榎本さん付け上がるじゃん」


桐谷くんが渉くんの後ろから腕を回して首をしめていた。


渉くんが私から離れていく。


「だってほんとのことじゃん!ってか、首苦しい!なに本気だしちゃってんの!?」


「あ、わりぃ」


「蒼空は力強いんだよっ…」


渉くんはゲホゲホと咳き込んだ。

桐谷くんが普通に接してくれてることが嬉しい。


この前みたいにまた突然冷たい態度とられたらショックだし。