毒ガスの部屋から脱出したあたしたちは、みんな無言のまま通路を歩いていた。


随分と体力を消耗してしまったし、精神的に追い詰められた状態だった。


この先部屋がいくつあるかわからないが、その度に誰かが死ぬ。


それが、すでに理解できていた。


「みんなの意見が一致することなんて、絶対にない」


不意に、桃乃がそう言った、


「なに?」


あたしが聞くと「さっきの部屋。誰もが生き残りたいと思ってたから、意見の一致は絶対にない」と、言った。


「……そうだね。その前の部屋でもそう。意見は絶対に一致しない。それをわかってて、こんな部屋を用意してるんだよ」


「だったらさ、次は誰に投票するか。誰を選ぶかを先に決めておかない?」


桃乃の提案に、あたしは目を見開いた。


「なにそれ、どういう事?」


「だから、どんな質問や問題を出されても、順番に1人を選んでいく事にしておくの。そうすれば、みんなの意見は必ず一致する」


「そんなことしても無駄じゃないかな」


そう言ったのはルキだった。


さっき吐いた血が口の端にまだついている。


「なんでよ?」


桃乃がルキを睨み付けた。