「どうしてここに来たのか、それを聞けば投票できるかもしれない」


そう言ったのは春奈だった。


「ここに来ているということはろくでもない人間ばかりだけれど、その中でも外へ出てもいいと思える人間はいるんじゃない?」


「そうだね」


あたしは頷く。


それならきっと翔吾が外へ出るのにふさわしいと思われるだろう。


「じゃぁ、まずはあたしから。あたしは両親がいなくて施設暮らしなんだけど、施設内ではイジメが充満していて、そこから出るために売春でお金を稼いでる。


施設内でのいじめに加担した事や売春が積み重なって、今ここにいる」


春奈が自分の環境を淡々と語る。


重たい話で胸が痛くなるが、それだけで左右されてはいけない。


「俺は動物虐待だ」


そう言ったのはルキだった。


ルキは元々隣町に住んでいて両親から虐待を受けていたらしい。


そんな両親から逃げるように《mother》の高校を受験し、学生寮に入った。


両親からの虐待から逃げる事に成功したものの、積み重なったストレスはついに爆発し動物虐待と言う方法で発散されていたらしい。