私が入って来たことに吃驚している。

それもそうだろう。

幸奈が風邪をひいても
仕事を休むなんてしなかった私が
昼間のこんな時間に
いるのが珍しいだろう。

『お母さん』

呼ばれて泣きそうになった。

私は幸奈を抱き締めたまま
何度も何度も謝っていた。

「私ね離婚しようと思うの」

あの人とは大分前からすれ違っていた。

「それから、
花蕾さんと籍入れなさい」

学校は中退になってしまうけど
好きな人といられる方が幸せだもの。

「離婚話も結婚話も私は本気だからね」

「青山さんは
二人の結婚どう思いますか?」

彼は幸奈の担任だ。

『私も賛成ですよ。
婚姻届の署名は私とお母様で
大丈夫ですよね』

よかった、彼が賛成してくれて。

当事者二人を無視して
私と青山さんは話しに花を咲かせていた。