ケータイ小説 野いちご

抱き寄せて、キスをして《短編》

第五章
苦しくて

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「いやー、面白かったな!」

私はシラケた顔で課長を見つめた。

「……課長、寝てましたよね」

ギクリとした表情で、課長は私をチラッと見た。

「寝てないよ、観てたよ」

「眼を閉じて観るなんて、仙人みたいですね!」

「……すまん……」

いつもクールで強気な課長が、ショボンとしたから、私は声を出して笑った。

「疲れてるんですよ。家に帰ってゆっくりした方がいいですよ」

時間はまだ午後三時だったけど、疲れている課長を連れ回すのは申し訳なかった。

「バカか。もう、ひと眠りして元気になった」

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