かぽん、と肩まで浸かると
雨で冷えた身体に、じわじわとお湯の温かさが染みこんでいって
すっかり収縮していた筋肉が一気にほぐれていく気がした。


あのあと、バスに乗って10分ほど揺られ
ルーカスさんの住むマンションに辿りついた。


(バス代、あとで払わなきゃ…)

そう思いながら、
すきに使っていいと言われたシャンプーに手をのばす。

(これ、よく雑誌に載ってるやつだ…!)

普段、雑誌なんて買わないけれど
いつも教室で心美が読んでいるから、自然と目に入ってきていた。

確かサロンでしか売ってなくて
ものすごく高かった気がする…。

いいのかな、と戸惑いながら控えめにプッシュすると
あっというまに柔らかくあまい香りが、ふわふわとバスルームに満ちていった。