次にルーカスさんと会ったのは、
二週間後の水曜日だった。


「悪ィ、リビングに置いてある書類持ってきてもらえねぇかな?」

ちょうどわたしが冬休みに入った日の翌日で、午後までの時間を洗濯や掃除で埋めようとしていたところに、兄から着信があったのだ。


会社の住所をアプリに登録したあと、簡単な身支度を整えて駅に向かった。



平日の午前中というだけあって電車内は空いており、老人や出勤時間が遅めであろうサラリーマンの姿ぐらいしか見当たらない。

タタン、タタタン、と規則正しく聞こえる窓越しの音に揺られながら
コートのポケットに入れていたリップクリームを塗りなおした。