ケータイ小説 野いちご

自転車置き場。

第一話


午前七時半。この辺の中学生は皆、登校する時間だ。

「亜由美、おはよう! ごめんね、遅れちゃって……」 

「大丈夫だよ。さぁ、行こう」


ゆっくりと自転車のペダルを踏んだ。


亜由美はいつも加織と一緒に登校している。 
特別仲がいいわけではないが、お互い家が近いのだ。


「そういえば、松岡君って加織の事、好きらしいよ」


少し小耳に挟んだ話だが、きっと本当だろう。
加織はとても可愛いのだから。


「えぇ? 亜由美、それ本当なの?」

「うん。二組の早苗ちゃんから聞いた」


嘘でしょ。と言いつつも、加織は嬉しそうだ。


……まあ、加織がモテるのも分かるなあ。


ふと、加織を見てみる。


柔らかそうな、栗色の髪の毛。
ぱっちりと大きい、二重の目。 
雪のように真っ白な肌。
華奢な身体――。


それに比べて、私は――、


癖っ毛な黒髪。 
奥二重な目。
太陽に弱いせいで、所々あれている肌。
ぽっちゃりした身体――。


加織に気づかれないように、そっとため息をついた。


やっぱり、私に恋なんて無理なのかな――


「亜由美、そろそろ急がないと間に合わないよ!」

「あ、うん!」


ぎゅっとハンドルを握り、二人は学校へ向かった。

< 1/ 2 >