チクタクと時計の針がなる音が、 静かな診察室に響く。 とりあえずカルテに優苗の名前を書くと、診察台に寄って呼びかけた。 「……優苗、ちょっと前あけるよ」 一応確認を取ってから、 優苗の着ている服の前をあけた。 心音は特に異常なし。 だけど…… 「喘鳴出てんの、自分でも分かってるでしょ」 若干聴こえるぜーぜーという音。 さすがに聴診器じゃないと分かりづらいけど、本人には分かるはず。