私の足はもう既に関わる事もないと思われたあの結婚相談所に向かっていた。

一応予約もして、菓子折りも持っている。

あの男は何か知ってるのかも知れないとふと閃いたのだ。

最初から何か変だとは思ってたのに、見て見ぬふりをしていたのは確かだ。

千春さんは今、海外に出張中で家に居ない。

イコールずっとお預け状態なのだ。


「お待たせしました泉様。どうぞ。」


きちっとした感じのいい女性がドアを開けて促してくれた。


(あっ、この前来た時の人だ。)


「失礼します。」



「あぁ、お待ちしておりました泉様。こちらにお掛けください。」


「これ、つまらない物ですがどうぞお納めください。」


つまらなくはない老舗喜久弥の生どらだ。


「わぁ、気を遣って頂いてありがとうございます。有り難く戴きます。」