<透side>


「さよなら、透。」

しばらく聞いてなかった、あいつの口から出た俺の名前。


俺は何を間違えたんだろう。


俺は、ただあいつを守りたかっただけなんだ。


あいつは…。


どこから俺は…。


あいつとの出会いは…確か。


あの日…


いつだったか、俺はある女と階段でぶつかった。


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あれは、確か俺が職員室に呼び出しをくらった時だったろうか。


イライラしながら階段を降りていた。


そんな時、前からよろつきながら教科書の束を抱えた女が階段を登ってきたんだ。




「危な…いっ、」


「きゃっ」


そいつは俺のことが見えなかったみたいで、


バランスを崩し、教科書をぶちまけた。