日差しが強くなってきた５月下旬の今日、毎年恒例のクラスマッチが行われている。

バスケやバレー、サッカーなどの球技を中心に、クラス対抗で優勝を決めるものだ。

私と文ちゃんが出るバレーの試合がない間は、クラスの他の試合を応援している。

今は体育館にて男子のバスケを観戦中……なのだけど。


「ねぇ菜乃、ずっと言おうかどうしようか迷ってたんだけどさ……」

「うん？」

「あんたは何でＴシャツをジャージにインしてんのよ！！」


隣に立つ私を指差して、文ちゃんが怒ったように叫ぶ。

緑色のハーフパンツに、しっかりとＴシャツの裾をしまった私はキョトンとした。


「え、だって昔から言われてきたでしょ、ちゃんと入れなさいって。如月くんだって入れてるじゃん」


私と同じスタイルの、コートの中を控えめに走っている如月くんを指差すと、文ちゃんは呆れたようなため息を吐き出す。


「今でもその教えを守ってる人がいるとは思わなかったわ……。一緒にいるこっちが恥ずかしいからやめな」


彼女は私をバンザイさせ、問答無用でシャツを出していく。