冬の風がより一層冷たくなった。


道の端々には、一昨日くらいに降った雪がまだ溶けずに残っている。


今にも凍りついてしまいそうな手を、自分の吐息で温めていると、優しくその手を握られて彼のポケットの中へ。



「天然カイロです」


そう言ってフワッと柔らかく微笑む恭に、


「何それ。変なの」


と言う素直じゃないあたしの内心は、幸せな気持ちでいっぱいだった。




「恭ー!茉弘ちゃーん!おっそいよー!!今迎えに行こうとしてたんだよー?」


倉庫の入り口から飛び出して来た春馬が、あたし達に気が付くなり頬を膨らませる。


「近くのスーパーやたらと混んでたんだよ。はい。コレ」


恭は、持っていたスーパーのレジ袋を渡す。


「お♪酒も入ってんじゃんー♪よく買えたなー!年齢引っ掛かんなかった?あ、恭老けてるからなー!」


「ぶっ!」


思わず吹き出したあたしを恭がふて腐れた顔で見てくる。