私は……ユキくんになにをしてあげられたかな
(舞……)
「ユキくん!」
彼が持っていたのは、指輪だった
なぜ、幽霊なのに物を持てるのだろう
(きっと、やり残したことだから)
なにも、言ってないのにそう答えた
(舞……2年だね)
彼は私に指輪を差し出した
「私に……?」
(俺が事故にあったあの日これを買いに行ってたんだ。たまたま運が悪くて……事故に)
信じられなかった。あの日指輪のために
命を落としたなんて
薄くなる、彼の体
(やっぱり、これを渡せたから)
「待って!ごめん……なにも、できなくて」
(大丈夫。俺幸せだった。嬉しかった)
彼は私に優しくキスをした。
温かった……紛れもなく人のぬくもりだった
(またね。舞)
またね?
「うん!またね!」
涙も笑顔も彼に捧げよう。
私たちの記念日は
8月8日
手に冷たいものが触れる
「雪?」
夏に舞う雪は夕焼けの空を輝かせた
ずっと一緒だからね。
ユキくん