中学2年の冬。
突然、同級生同士のカップルが増えた。
「どうして急に?」
恋愛事情に疎い私が聞いたのはすでに1年の時から彼氏がいる友達。
「最終学年を前に恋人を作っておきたい心理が働いてるの」
「心理?」
「そう。うるさく目を付けてくる先輩たちはあと少しで卒業だし、数ヶ月後には修学旅行がある。あと受験前に恋愛でゴタゴタするのは嫌だから先に決着つけたいって考えもあるかな」
なるほど。
他の友達を見てもこれには納得して頷いている。
「蛍も光に告白すれば?」
「え?」
「光の事、好きだって言ってたじゃん。いつまでも幼馴染みのままでいいの?」
なんで矛先が私に向いちゃうのかな。
みんなで好きな人を言い合おうって話しになった時、嘘でもいないって言えば良かった。
友達みんなに背中を押される事になるなんて。
「私は振られるくらいなら幼馴染みでいいから側にいる事を選びたい」
「何言ってんの!絶対上手くいくから大丈夫だって!」
どこにそんな根拠があるのか。
友達とは言え、ただ楽しまれているように思えて、覚悟も何も決めないまま数日が経った。