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ちゃぷん。

洗い桶に手を浸す。せめてもの手助けと、洗濯係を引き受けてみたのだ。

容赦なく照りつける太陽、腕にまとわりつく着物。

「あっつ…」

癖のように呟いた言葉はもう何回目だろう。

だが、帰りたいなどという言葉は出てこない。

どこへ行っても同じだと言うことを嫌と言うほど思い知ったのに。

稽古場からは竹刀の音。感心してざわめく声。

私こと北沢 音。
十七才女子高生──のはずだった。


この、新選組屯所に落ちてくる前は。