ーさかのぼること五年前ー

「お母さん、今日はどこ行くの?」

このころのわたしはまだ10歳。
四年生だった。


「今日はお父さんの職場の飲み会に送っていくの。すぐに帰ってくるからね。」


お母さんはいつもどおりの優しい声で答えると、「いってきまーす」と言って家を出た。


これがお母さんとお父さんの顔を見る最後になるなんて…

この時のわたしは全く想像してなかった。