太鼓と笛の音が鳴り響く。



前に浴衣で張り切っている萌と、それを見て我慢しているつもりだろうが、ニヤけている和希。



隣には、2人の背中を見送っている高田。



ここは近所の神社で。



今行っていることは、夏恒例の夏祭り。



何故、夏祭りに来ているかと言うと、遡ること数時間前である。







「ねっ?お願い」



テストも無事に終え、難なく夏休みに入って数日だった。



外ではミーンミンとうるさく鳴くセミの声。



目の前にはキラキラと光る萌の瞳。



その手にはクシャと強く握られている紙。