僕の目を見た彼女は

固まって何も言わなかった



僕は聞かれないよう溜息をついて

再び視線を落とした





「…殺してくれますか?
僕のこと」




彼女は黙ったままだ




「聞こえているんですか?」


「……わかったわ
そこまで言うのなら殺してあげる

だけど特別よ

普段あたしは
頼まれて殺人なんて起こさないんだから」


「ありがとうございます」




僕がお礼を言った所で

洗濯機が洗濯を終えたことを知らせる

僕よりも前に洗濯機をまわしていた

彼女の洗濯機はいつの間にか止まっていた




気が付かなかったな…

彼女の洗濯機が止まっていたなんて





それほど僕は

彼女へ“僕殺し”を頼むのに

必死だったんだな……